コラム

Pocket

[バングラデシュの基本情報] 次のオフショア開発国として世界が注目中

カテゴリ:オフショア基本

 

本記事の執筆者:鮄川宏樹(セカイラボCEO)

日本のソフトウェアエンジニア不足がより深刻になっている中で、数年前までは日本のオフショア開発と言えば中国にほぼ集中していたのが、中国のカントリーリスクや人件費の高騰などで「チャイナプラスワン」と言われるようにより、ベトナムなどASEANを中心に他のエリアに広がりつつあります。そんな中で、私たちが注目しているオフショア開発先の1つが、バングラデシュです。

バングラデシュのICT(主にソフトウェア)産業

IT企業数

バングラデシュにはフリーランスエンジニアや小さなエンジニアチームが多く、どこまでを企業と呼ぶかによって数は変わってきますが、IT企業は約800〜1,000社あると言われています。バングラデシュの多くのIT企業が加盟しているBASIS(http://www.basis.org.bd/)という団体には、700社以上が加盟しています。また、BASIS会員のうち70%以上はソフトウェア開発に携わっており、約50%はデータ加工、グラフィック・ウェブ設計などのITサービスを行っています。

ITソフトウェア市場規模

BASISの調査によると、2013年度の輸出も含めた市場規模は、8億米ドル(約1,000億円)と推測されます。日本が10兆円と言われているので、まだ日本の1/100(1%)しかありません。バングラデシュ国内のGDP比率で考えると、0.3%とまだまだ少ない数字です。

ITエンジニア数

企業に所属しているエンジニア数が、およそ7万人と言われています。また、バングラデシュはフリーランスエンジニアが多いので、彼らを含めると10万人ぐらいではないかと思います。世界最大のクラウドソーシングサービス「oDesk」 では、受注者の国別ランキングで3位前後にバングラデシュが入っています。

概況がつかめたところで、いよいよバングラデシュでのオフショア開発のメリット・デメリットについて解説します。

バングラデシュでのオフショア開発のメリット

バングラデシュでのオフショア開発のメリット

1. 優秀なエンジニアが多い

オフショア開発先として考えるとき、優秀なエンジニアが多くいるかどうかが一番重要ですね。バングラデシュのエンジニア数は10万人と多いとは言えませんが、首都のダッカに集中していることもあり、優秀なエンジニアのレベルは他国と比べても非常に高いと思います。特に、インドのイメージとも近く、数学的なアルゴリズムに強い印象を受けます。

私が会った若手エンジニアや学生でも、一般的なシステム開発、Web開発などはもちろん、高度な画像処理、ビッグデータ解析、人工知能、AR・VRなど、さまざまな分野で実践的な技術を身につけているエンジニアが多く、とても刺激を受けました。バングラデシュ人のエンジニアは非常に学習意欲が高く、学習スピードが速いです。

2. 英語でのコミュニケーション力が高い

バングラデシュでは小学生から英語を習います。町中で英語が通じるわけではありませんが、大学を卒業しているエンジニアは、ほぼ全員が英語を話せると言っていいでしょう。英語でのコミュニケーション力で言えば、日本・中国・ASEAN諸国と比較しても高いと言えます。

3. エンタープライズシステム(業務システム)開発に強い

英語力の高いバングラデシュでは、欧米向けの開発経験のある会社が多く、その殆どはエンタープライズシステム(業務システム)開発であることから、ASEAN諸国と比べるとこの分野に強いと言えます。

Oracle社やSAP社などのような大手ベンダーのERP、CRM、SCMなどのパッケージソリューションというよりはスクラッチ開発型の経験の方が豊富です。中には独自のERPを開発している企業や、バングラデシュならではのマイクロファイナンスのマネジメントシステムを、多くのNGO・NPO向けに開発している企業もあります。

4. 開発プロセスに強い

特にミッションクリティカルなエンタープライズシステム(業務システム)開発において重要なのは、開発プロセスです。モバイルアプリやソーシャルゲーム等では、プロトタイプを作ってブラッシュアップしていくような開発方法が多いですが、エンタープライズ向けでは、機能要件・非機能要件などをしっかり整理してドキュメント化し開発に着手するウォーターフォール型の開発もまだまだ多くあります。

このような厳格な開発プロセスに準拠している会社が多いのも特徴です。日本でも5社程度しか取得していない、CMMI(Capability Maturity Model Integration)という開発組織の能力成熟度を評価する制度で最高のレベル5を取得している企業もあります。

5. ASEAN諸国と比較して人件費が安い

ソフトウェアエンジニアは、他の職業に比べれば給与は高い方ですが、それでも平均月収は新卒で2万タカ(3万円)程度、4,5年の経験者で4万タカ(6万円)ぐらいで、ベトナムなどのASEAN諸国と比べても安いと言えます。(※ 金額は感覚値です)

ただし、BUET大学やダッカ大学などのトップ校の卒業生は、国内での高い需要や海外で働くオプションがあるので、平均月収は3倍以上になることもあります。 オフショア開発の一般的な単価で言うと、為替にもよりますが、1人月(1人当たりの1ヶ月分の費用)で15万円〜25万円といったところでしょうか。ベトナムだと20万〜30万ぐらいなので、2,3割は安いです。

6. 親日である

ASEAN地域は親日国家が多く、バングラデシュはその1つです。日本がバングラデシュの独立を支持したことで、親世代から日本への印象が良く、また日本企業へのリスペクトも強く、憧れもあります。バングラデシュの人たちは日本向けの仕事だと誇りを持って、喜んで取り組んでくれます。

戦後どのように日本が急成長を遂げたのか、興味を持ってる人も多いです。高品質なプロダクトを作り、世界市場を開拓していった日本企業はやはり尊敬されてます。

バングラデシュでのオフショア開発のデメリット・リスク

バングラデシュでのオフショア開発のデメリット・リスク

1. 日本語を話せる人が少ない

中国やASEANと比べると日本語に触れたり学ぶ環境は少なく、英語ができることで英語圏の仕事を受けている会社が多いため、日本語ができる人材はまだまだ少ないのが現状です。その為、バングラデシュでオフショア開発をするなら、英語ができる日本人がいるとスムーズなことが多いです。

2. 休みが金曜と土曜で、時差も3時間ある

バングラデシュの休みは、基本的に金曜と土曜です。また、時差は3時間あるので、日本の昼ぐらいにバングラデシュが稼働し始めるイメージです。このため、コミュニケーションのロスにならないよう、打合せなどは時間調整が必要です。ただし、海外向けの開発を中心にやってる会社には、土日を休みにしている会社もあります。

3. 生活インフラが未整備

通信環境、電源などの基本的なインフラがまだまだ未整備で、通信が切れたり、停電になることも頻繁にあります。ただこれも、それなりの会社であればUPSなどのバックアップ電源を完備している施設を選んでいるので、通信環境や電源の状態などを確認すると良いでしょう。あとは交通渋滞もひどいので、移動手段によっては遅刻が多くなる可能性があります。

4. 転職率が高い(会社による)

優秀な人ほど転職のチャンスも多く、いつの間にかいなくなってしまうケースもあります。また、oDeskなどでフリーランスとして仕事をする方が稼げるので、フリーランスになる人も多いです。ただし、皆が必ずしも給与だけで転職する訳ではありません。成長できる環境があるか、やりがいのある仕事があるか、経営陣を信頼できるか、快適な仕事環境があるか、社内の雰囲気が良いか、といったことも、日本人と同様に見重視している人も多いです。開発を依頼する際に、その会社の企業文化もしっかり見ることをお勧めします。

5. 直行便が無い

オフショア開発と言っても、時には現場に行って状況を確認したり、視察するということもあると思います。東京・ダッカの間にはまだ直行便が無いので、バンコクなどを経由する必要があり、最短で着くには深夜便を使う必要があったりします。日本とバングラデシュの交流・ビジネスが盛んになり、直行便ができるといいですね。

6. 政治が不安定

普段は全く問題ないのですが、選挙の時には、ホルタル(ゼネラルストライキ)と呼ばれる政府に対する激しい反対活動が毎回行われてます。ホルタル宣言が出されると、外出が出来なくなり、企業活動そのものが大きく制限されることがあります。このような政治的なリスクがまだ残っていることも、認識はしておく必要があります。

まとめ

バングラデシュはまだまだ混沌の中にあり未整備な部分も多いですが、人口は多く、優秀で向上心の高い若者が多い、とても魅力的な国でもあります。SAMSUNGのように大規模なR&Dを行っている企業もある中で、まだまだ日本企業でバングラデシュの豊富で優秀な人材を活用できている企業は多くはありません。だからこそ競争相手の少ない今なら、日本への魅力を感じている優秀なエンジニアチームをバングラデシュに持つことができるのです。

自社で拠点を持つのは、インフラ面、コミュニケーション面など含めて難易度は高いと思いますが、「セカイラボ」を通じて、一度バングラデシュでの開発を試してみませんか?優秀で若く可能性のあるエンジニアと仕事をすることで、きっと日本企業の人たちにも良い刺激があると思います。もちろん、イノベーティブなWebサービス・アプリ、エンタープライズシステム・プロダクトの開発に大きく貢献してくれることでしょう。

セカイラボはバングラデシュのダッカに開発拠点(30名体制)を持ち、Webシステムやモバイルアプリの開発を行っています。

関連記事

[中国の基本情報]日本のオフショア開発先として大ベテランの中国

[ベトナムの基本情報] オフショア開発で今もっとも熱い国、ベトナム

WEBサービス開発やスマホアプリ開発、
業務システム開発、ローカライズなら
「セカイラボ」

サービスに関する問い合わせ