uncategorized

「空飛ぶクルマ」でワクドキな世の中をつくりたい―モチベーションベースで繋がるクルマ好きたちが目指す世界(CARTIVATORインタビュー)

「次世代の人達にモビリティを通じて夢を提供する」ことをミッションに、空飛ぶクルマの開発に取り組む若手有志団体CARTIVATOR。空飛ぶクルマはどんな発想から生まれたのか、彼らの実現したい世界は何なのか、空飛ぶクルマができた時私たちの生活はどう変わるのか。“イノベーション”としか言い表しようのないこの取り組みに関して、CARTIVATOR広報の福澤氏とお話ししてきました。

写真

CARTIVATORとは

CARTIVATOR   FLYING CAR PROJECT

CARTIVATORは、会社でもなく、〇〇法人でもなく、有志のメンバーで構成された団体。大手自動車メーカーに勤める数名+αで構成されるコアメンバーに加え、全国に様々なサポートメンバーがいます。代表の中村氏をはじめとし、自動車メーカーに勤めながらも、「クルマで面白いことをしたい」というメンバーが集まって、休日など業務外の時間で活動をしているそうです。

福澤氏:クルマのメーカーに勤めていても、最初に任せてもらえるのは、例えばハンドルの中の、とある小さな部品の設計だったりするわけです。全体を見られるようなチーフエンジニアになるのはだいぶ先のこと。20年も待ちきれないよ、というのが中村の中にはありました。

空飛ぶクルマはいかにして生まれたのか

——空飛ぶクルマはどのようにして生まれたのでしょうか。

福澤氏:2013年は考える年で、「どんなクルマがあったら楽しいか」というテーマでアイディアハッカソンを行いました。100以上のアイディアを出した中に、学生時代に鳥人間コンテストに出てたメンバーが提案した「空飛ぶクルマ」というのもあったのですが、その時は「まあまあ(笑)」みたいな感じでした。

その後、電気自動車で移動して行ったディスカッション合宿では、「人はなぜ移動するのか」といったテーマについて考えたりもしました。その一つの結論として、移動するのは「ワクドキ(ワクワクドキドキ)するため」というのが出てきたのです。心動かされる体験をしたいんですよね。動く途中で景色を見たり、車中でのコミュニケーションを楽しんだり、行った先で新しいものに出会ったり。

そんなところから、「ワクドキ」を与えるために、革新的なもの、想定を超えたものを提供したいと考え、最終的に、空飛ぶクルマに行き着きました。まずは、自分たちで体験してみよう!ということで、実際にハンググライダーやヘリコプターに乗ったのですが、空を飛ぶ感動は想像をはるかに超えていて、言葉では言い表せません(笑)

——「日本の若者はクルマ離れしている」という問題意識があるようですが、実際にクルマ離れは起きているのですか?

福澤氏:そうですね。定量的には、大学生の免許取得率が大きく下がっていますし、今は都会の人はクルマは必要ないので持たないという傾向が顕著ですよね。

今クルマは心踊らされるものになっていないと思うのです。昔は、単純に「かっこいい」というのがあったと思うのですが、今は固定費のような捉えられ方をしている。CARTIVATORのメンバーはクルマ好きが多いのですが、そういう身からすると今の状況は非常に残念なんですよね。

自分たちはモビリティが好きで、ワクワクさせられてきた。だから、それを通じて次世代の人たちにも夢を与えていきたいんです。そうすることで、倦怠感漂う世の中ではなく、常に「ワクドキ」するような世の中にしていきたいと思っています。

公道から飛び立てるクルマをつくりたい

実はこれまでも「空飛ぶクルマ?」なるものは存在していたそうです。

福澤氏:これまでにある「空飛ぶクルマ」はどちらかというと、「地上を走る飛行機」でした。大きすぎてなかなか公道は走れないし、操作も難しいのです。SkyDriveは、小型で公道を問題なく走ることができ、そしてそこから飛び立つことも可能なものを目指しています。

——目指す世界観は「誰もが自由に空を飛べる時代を創る」ことであるとありますが、誰もが自由に空を飛べる時代ってどのようなものなのでしょうか。

福澤氏:一度愛知県の高校でイベントを企画したときに、学生から「家のベランダから飛び立って、学校の屋上に着地したらいいな」というアイディアが出てきました。それってもう、自分が空を飛んでいるみたいなものじゃないですか。これが究極だと思います。
移動が簡単にできるという利便性もありますが、それだけでなく移動中の楽しみですね。空飛ぶ喜びを日常で体験できるようになるといいなと思っています。

今、地上では色々な動き方ができますが、空中ではできません。空中でも色んなことができるようになると、自由度があがります。そうすることで人間の世界を広げていきたいと思っています。

CARTIVATOR

エンタメ要素と実用性

——そうするとやはり、「エンタメ」という部分が大きいんですかね?

福澤氏:ミッションベースではそうですね。ただもちろん実用性という面も重要視しています。
たとえば、遠隔地や山などでの緊急用が考えられます。ヘリコプターはヘリポートが必要ですし救急車も時間がかかる。空飛ぶクルマでスピード重視でまず飛んで行き、最低限の手当をしている間に救急車などに来てもらう。そういったことができると思います。
砂漠などもそうですね。今のクルマは高速移動したり悪路を走ったりすることはできますが、砂漠などの移動はできません。
インフラの十分に整っていない新興国などでの利用も考えられると思います。

——私も先日ウガンダに行っていましたが、そもそも道路が少ないから渋滞が酷い、道があっても本当の都心以外は道がガタガタで揺れがすごい、というので大変な思いをしたので、空を飛べたらすごくいいだろうと思いますね(笑)。

2020年のオリンピックでデビューを目指す

——今後のマイルストーンを教えてください。

福澤氏:すでに1/5実機を飛ばすことには成功していて、現在は1/1実機での安定浮上を目指しています。2020年には、オリンピックで聖火台に火を付けることを目標にしています。2027年には量産の段階に入るイメージです。その時には、ちょっと背伸びしてハイブリッドのクルマに乗ったくらいの感覚で、空飛ぶクルマに乗るような時代になっているといいなと思います。

東京オリンピック開会式イメージムービー

課題は制御

——いくつもの大きなハードルがありそうですが、一番大きなハードルをあげるとすると?

福澤氏:制御が難しいですね。ホバリングといって、同じ場所に居続けるということの実現が難しいのです。

空飛ぶクルマを実現する上では、いかにクルマを自分の身体の一部みたいに感じられるか、が重要だと考えていて、人が直感的にかつ安心して操作できるようにするために日々奮闘しています。

ありがたいことに全国から色んな支援者の方が集まってくれて、ドローンの研究者の方であるとか、もともと「空飛ぶ車いす」を作っている方などが現在は協力者となって、一緒に研究を進めています。

モチベーションで繋がる新しい組織のかたち

——普通に考えたら、空飛ぶクルマってアイディアとしては出てきても、実現しようとすればするほど「無理だー」ってなってきそうじゃないですか。チームの中で、思考を柔軟に保ったりするために心がけていることだったりルールなどはあったりするのですか?

福澤氏:ルールは全くと言っていい程ないですね。ノルマとかマストといったものは存在しません。基本みんなモチベーションベースで集まっていて、「各自がやりたくて、得意な分野を分担する」ように自然となっています。「ワクドキ」でつながっているからですね。仕組みルール・制度がないことが逆にいいのかもしれません。

取材担当から

「モチベーションベースで繋がるって新しい組織の在り方かもしれないですね」というお話をしていました。お金ではないところで、共感して繋がって、夢を描いて、実現に向けてみんなで頑張る。もちろんお金も必要だから、クラウドファンディングで共感した人からお金を集める。全国に協力者を募ってどんどんとやりたいことを実現させていく。もちろん、現実的な問題は色々とあるでしょうが、イノベーションってこうやって実現されていくのかもしれません。

「空飛ぶクルマの取材」という話が出たときに、このメディアの趣旨と合うのかどうかという一物の不安がなかったわけではありません。でも私達としては、人間の技(テクノロジー)で色んなポジティブなイノベーションが興っていくといいなと思っていて、そこには物理的なモノかそうでないかはあまり関係がないと思います。

空飛ぶクルマが実現可能なのかどうなのかは良くわかりません。でもつくづく、人間の歴史というものは、まず頭にイメージを描き、その実現に向けて努力を重ね、いくつもの制約を乗り越えることによってつくられてきているのだなあということを思います。だから、空飛ぶクルマもいずれ実現されるのでしょう。今は非現実的に思えるかもしれないけど、実現すれば歴史を変えるようなプロダクトづくりに本気に取り組むCARTIVATORに勇気をもらったのは私だけではないと思います。

CARTIVATOR 公式HP

CARTIVATOR Facebookページ

CARTIVATOR クラウドファンディングページ「日本生まれの空飛ぶ車”SkyDrive”をつくるプロジェクト」

sekai-labSEKAI LAB TIMES(セカイラボタイムス)は、アプリ・Webサービス開発を世界中のエンジニアチームに依頼・発注できるグローバルソーシングプラットフォーム「セカイラボ」が運営しています。詳しくはこちら


YUKA NUNOI /
ぬのちゃんと呼んでください。よく、人間ではない様々な生き物(あるいは生き物じゃないもの)に似ていると言われる。世界の行く先と、そこでどう行動すればいいかについて、皆さんと考えていきたいです。好きな国はウガンダ。