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「自分たちにとって必須の自社サービスをつくる」開発会社クレイが手掛ける情報共有ツールDocBaseのサービスづくり

「【保存版】チーム内で情報を共有し活かすためのオススメWebサービス9選」でも取り上げさせていただいた情報共有サービスのDocBase。今回はDocBaseを運営している株式会社クレイの代表取締役の天野氏に、DocBaseのサービスづくりや、受託と自社サービスを両立する秘訣について伺いました。

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コンセプトは「小さく始める・みんなで育てる・確実に伝える」

――まずはDocBaseの概要について教えてください

DocBaseは、開発中心の組織をターゲットにした情報共有サービスです。ただ、エンジニアだけに向けたサービスというわけではなく、エンジニアが従来から持つ情報共有を積極的に行う文化をベースに、バックオフィスや営業の方にも使っていただくことを目指しています。実際、現在使っていただいている企業も、システム開発部から導入していただいて、その後、営業や企画の方にも使っていただけるようになったというケースが多いです。

DocBase   成長する組織のための情報共有サービス

また、サービスのコンセプトは「小さく始める・みんなで育てる・確実に伝える」です。

従来のドキュメント共有には、敷居の高さを感じていました。なんとなく「正確ではない情報は載せてはいけない」、「形式はきちんと整えなければならない」と心理的なハードルができてしまい、その結果として情報共有を疎かにしがちな環境が生まれがちでした。
その敷居を壊すために、DocBaseではドキュメントではなく、メモとしています。この機能によって、たとえばURLだけでも気軽にメモに残すことができます。小さい情報から周囲と共有しやすくすることに関しては、かなり意識して作っています。この点が、コンセプトの最初の「小さく始める」にあたります。

また、「まとめ」の機能を付けているので、この機能を使って、メモに残した小さな情報を集約して、一つの体系化した情報を作ることができます。チームで編集可能なので、チームメンバー全員でよりよいメモを作ることも可能です。この点が、コンセプトの「みんなで育てる」にあたります。まとめ機能は、新入社員が入社時にすべき業務などといった、いくつかのステップがある作業に役に立ちますね。

加えて、グループ機能があるので、権限管理が柔軟になり、自分だけのメモを作ることもできますし、グループごとに異なる情報を共有することもできます。他の多くの情報共有サービスでは、全ての情報がオープンになってしまいます。そのため、クライアントやパートナーに見せたくない情報がある場合、彼らにはそのサービスを使ってもらわずに、メールなど別の手段で連絡したりする非効率なケースがあります。一方、DocBaseでは、グループ機能を使うことによって、クライアントやパートナーの方にも気軽に導入していただき、効率的に情報を共有することが可能です。この点が「確実に伝える」にあたります。

――クライアントやパートナーの方に使ってもらうためには、価格も重要な要素になると思うのですが、そのあたりはどのような工夫を行っていますか?

価格設定に関しては、過去の経験を踏まえています。DocBaseは正式にリリースする前に、社内だけで利用した時期、限定10社程度に公開したクローズドβの時期、事前登録してくれた方だけ利用できるオープンβの時期がありましたが、その時は、ユーザー1人当たり500円の設定にしていました。しかし、関係者全員に入れて欲しいサービスであるにもかかわらず、1人1人から利用料をとる仕組みでは、パートナーや、バックオフィスの方が利用をためらう結果になってしまいました。その反省を踏まえて、今はスタンダードプランからユーザー数は無制限にして、その代わりに作成できるグループ数に制限を加えています。この設定にしてから、情報を見るだけのような人も含めて、関係者が全員使ってくれるようになりました。

自分たちが本当に使うサービスを作りたかった

――そもそも、情報共有サービスを始めようとおもったきっかけは何でしたか?

元々、弊社は開発の会社だったので、情報を一元的に共有することは創業時から別のサービスを使ってやっていました。そのサービスがメンテナンスをやめてしまうことを知り、それが一つのきっかけになりました。最初は、また別の情報共有サービスを使おうとしたのですが、なかなかしっくりこず、それなら自分たちで自分たちが使いたいサービスを作ろうと思ったんです。

また、過去にいくつかアプリをリリースしてきましたが、今回は、自分たちが本当に使うサービスを開発しようという思いが元々ありました。弊社は元々、チーム開発が得意な会社なので、チーム開発をより良くするためのサービスを作ることは自分たちに合っていたこともDocBaseを始める上で大きかったです。

――別の情報共有サービスがしっくりこなかったのは、何故でしょうか?

きちんとしたドキュメントを作らないといけないという意識からか、情報共有があまりされませんでした。他にも権限管理ができないため、すべての情報がオープンになってしまい、社外の開発パートナーに共有しづらくなってしまったことや、セキュリティに関する不安がありました。

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――もともと受託がメインの会社と伺っていますが、DocBaseは、社員の方全員で作っているのですか?

DocBaseに関しては、自分たちでも使いたいサービスだったので、サービスを作る人と使う人に社内で完全に分けています。そうすることで、社内だけでユーザーインタビューを行って、率直なフィードバックを受けることができています。社員は、全員エンジニアで、企画に関しては本業ではないメンバーもいますが、サービスに関しての意見はしっかり言ってもらうようにしています。

社内でのDocBaseの利用を通じて、以前より情報の集約化が進んだ上に、気軽に様々な人と新しい情報を共有しようとする習慣が社内に広まりましたね。

――DocBaseに関わっているメンバーは何名ですか?

社内では私含めて5名で、外部のデザイナーが1人います。ユーザーストーリーマッピングなどは全員で考えますが、他の案件もこなさなければならないので、大体3名程度で動くことが多いですね。今後はもう少しリソースを割けるようにします。

――機能の改善等に関しては、どんな判断基準で進めているのですか?

機能の改善に関しては、社内の意見と外部の意見を考慮しながら、実際に検証作業を行うことで効果を確認しています。つけるべきか否かで意見が割れていた既読機能は、現在試験的に導入していて、ユーザーの動向や意見を見ながら本導入を検討したいと思っています。

今後は、ファイル添付や、他のサービスからの移行作業が簡単にできるためのAPIの公開などの実装を進めていく予定です。

開発会社なら実際にモノを作るべし

――クレイのHPにあった「かんがえる」シートが気になりました

クレイの「かんがえる」とは?

あれは数年前に作ったシートなんですが、サービス開発の際にふわっとした案件が来ることが多かったので、開発チームとクライアントが共通認識を持つためのツールとして使っています。

――また、HPにはクレイの強みの1つにアジャイル開発がありましたが、これにはどういった背景があるのでしょうか?

アジャイル開発は4年ほど前に、1人の社員がスクラムマスターとして中心的な役割を担って本格的に導入しました。ただ、それ以前から私もXPといったフレームワークに関しては勉強していて、アジャイルに似たような手法を導入していました。

アジャイルの導入以降、契約に関しては委任ではなく準委任契約を結ぶようにして自分たちの稼働分に応じて、料金を請求するスタイルに変えました。なぜかというと、従来の委託契約では、要件変更に柔軟に対応できない欠点がありました。その欠点の影響で、クライアントは要件漏れを恐れて、とりあえず様々な機能を雑に盛り込みがちになり、コストがかさむという状況もしばしば発生しました。一方で、準委任契約では、開発側も自分たちの意見を積極的に出すことができますし、クライアントも要件変更を気軽に行うことができます。

また、開発の進捗の透明性に関しては、かなり配慮しています。クライアントも含めてのビデオ会議は毎朝行います。加えて、1・2週間に1度のペースで振り返りと今後の作業方針の確認も行います。

――受託開発と自社サービスを両立するためのクレイなりの秘訣ってありますか?

自社サービスでは「自分たちにとって必須となるものを作る」ようにしています。これは自分たち自身が顧客であることで、サービスの価値を少しでも正しく判断出来るようにしたいと考えたためです。

これまで、「夜6時以降は自社サービスの開発に集中する」とか「1日◯時間は自社サービスの開発に集中する」とか、色々な開発の方法を試しましたが、なかなかうまくいきませんでした。そのため、開発メンバーの案件を調整し、受託と自社サービスに割ける時間を半々くらいに保てるようにしています。また、自社サービスの開発に専念できるようにまとまった時間を取ってあげることも大事ですね。弊社では、1ヶ月に1回の開発合宿や、毎週金曜に3時間みんなで集まってのプチ合宿などを行っています。

手法に関しては、近年リーンスタートアップが話題ですが、開発チームごとに適したMVP(Minimum Visible Product=実行できる最小限の形)の形を模索することが重要だと思います。弊社のような開発会社では、一番価値があると考えている部分を作ってしまう方がコストが低く、価値を判断しやすいと考えました。実際、DocBaseに関しては、一番主要な部分に関しては開発合宿で3人で1日で一気に作ってしまいました。

取材担当より

チーム開発を得意とするクレイの方々だからこそ、DocBaseがうまくいっているのだということが、インタビューを通じて実感できました。自分たちの強みをしっかりサービスに反映することは、やはり成功の重要なポイントなのだと思います。
また、リーンスタートアップに関して、「開発会社なら実際にプロダクトを作った方がいい」という意見も、実際に開発に関わっている方がおっしゃるのでとても説得力がありました。

DocBase

sekai-labSEKAI LAB TIMES(セカイラボタイムス)は、アプリ・Webサービス開発を世界中のエンジニアチームに依頼・発注できるグローバルソーシングプラットフォーム「セカイラボ」が運営しています。詳しくはこちら


MAITO NAGASHIMA / Internship
セカイラボでインターン中の学生です。社会人に間違えられることが多いですが、大学生です。グローバル化が進む時代をどう面白く生きていこうか思索しながら、バイト先の映画館でポップコーンをつくる日々を過ごしています。好きな国はスウェーデンです。