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彼女は何故、どん底から音楽レーベルオーナーになれたのか?〜旅ブログ「イオタビ」誕生から学ぶ、自分の生き方を見つけるヒントとは〜

イオタビ 前田さん
音楽業界を取り巻く環境は、日々急速に変化し成長を続けています。CDを出せば簡単にファンが付いて売れる時代は終わりを迎え、ミュージシャンも様々な方法で自分たちの音楽を拡めるための努力をしています。

今回は、ちょっと変わった音楽とブランドの拡め方を実践している、「studio iota label」のレーベルオーナーであり、「日本・世界の不思議をあるこう」をテーマに旅の記録を発信しているWebマガジン「イオタビ」を運営している前田紗希(まえだ さき)さんにお話を伺ってきました。(※ちなみに、セカイラボタイムスで音楽家の方へのインタビューは初!)

【前田 紗希(まえだ さき)】Profile
作曲家/ドラマー、旅と音楽をコンセプトにした音楽レーベル「studio iota label」代表。旅とカメラが好きなコンパクト女子。ドラムセットに隠れて姿が見えないため“人形劇”と評される。やたら一本気な性格で、毎日創ることばかり考えている。

イオタビとは?】
〜Discover the minor mysteries in daily life in Japan〜
<イオタビ>は、普通の観光ガイドに載っていない、海外のちょっと穴場なおすすめスポットを紹介するWebメディア。紹介される内容は、前田さん自身が実際に旅をして経験し、感じた生の情報、マイナーだけど人間味溢れる興味深いスポットの数々。その記事から伝わる雰囲気は実際にその土地の匂いまで感じてくるよう。「日常に転がる不思議な「知ってる?」を価値あるものに。」をコンセプトに更新中。

※この日は世田谷RECスタジオさんにてインタビューを行わせて頂きました。

ーー本日はよろしくお願いします!音楽スタジオで取材するのが初めてなので、かなり違和感と興奮が入り混じっております(笑)

前田さん)
確かに、IT系の方がお仕事でこのような場所にはなかな来ないですもんね(笑)

ーーそうなんですよね。まず、音楽レーベルを立ち上げるってどういうこと?というレベルなのですが、何故そのような活動をするに至ったのでしょうか?

前田さん)
かなり前の段界からお話をしなければならないのですが、私は昔バンドをやっておりまして、インディーズでデビューをしました。当時はメジャーレーベルからも声が掛かったり、かなり精力的に活動をしていたのですが、無理が祟ってある日、過労で倒れてしまったんですね。

それで、身体を壊してしまい、生まれて初めて何も出来ないという状態を経験しました。全く生きる気力も何も湧いてこない時に、たまたま手に取ったのがカメラだったんです。カメラは私に自由と希望を与えてくれました。

カメラを片手に、多摩川沿いから始まって、2〜3年掛かって横浜から沖縄、ついには世界中の景色を撮るというところまで至りました。

身動きが取れない程の状態だったと語る前田さん

身動きが取れない程の状態だったと語る前田さん

ーーものすごい行動力ですね。

前田さん)
でも、旅に行くと言った時の周りの反応は冷たいものでした。例えば、遊びに行っているとか現実逃避しているとか、楽しいことは近所にもあるよとか。

私にとって、旅とは自分に向き合える唯一の機会(チャンス)なんです。それは何でかというと、ツアーじゃない一人ぼっちの旅って、とても孤独で自分で何とかしないと生きていけないじゃないですか。そういう生き延びるためには何とかしなければ!みたいなシチュエーションが自分に生きる活力を与えてくれたんですね。

ーーなるほど。確かに必要に迫られて初めて真剣にコミットすることってありますよね。レーベルを立ち上げようと思ったのは、いつ頃だったんですか?

前田さん)
世界中を飛び回っている時に、レーベルを立ち上げたいと思ったんです。絶望的な状況の最中でも、近くにいてくれた仲間たちを見て、表現がしたくても何らかの事情でそれが出来なかったり、出口が見つからない人たちのために何か出来ないかなと。それが25歳の時だったんですが、その時に何となく5年以内に実現出来る気がしました。それで、実際に5年以内に作ってしまいました(笑)
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ーーやっぱり実現力がすごい(笑)元々そういう組織を創るという願望は持っていたのでしょうか?

前田さん)
私、小さい頃の夢が、海外の人と海外で一緒に演奏することが夢でした。それが旅をしたときに叶って、次に持った夢がレーベルを創ること。それも叶いました。あの時、倒れた経験がなければその夢がどちらも叶っていなかったかもしれないのですから不思議ですよね(笑)

私がやっているレーベルのメインの仕事は、音楽を創って流通させること、あとはコンテンツを発信すること。

ーー何故、音楽の活動に音楽以外のコンテンツが必要なのでしょう?

前田さん)
いまの音楽は、昔の音楽のあり方とは違ってきていることは、ご存じだと思いますが、これからの音楽は「小規模の力」が必要だと考えています。

私個人としての音楽の仕事はありがたいことにご依頼されることも多いのですが、レーベルとしての仕事もご依頼いただけるようにならないといけません。私たちのような小さなレーベルを多くの方に認知してもらうためには、メディア展開が必要でした。

特にミュージシャンは、お金を作り出すことが得意ではありません(笑)私はカメラと音楽と文章を書くことが武器だったので、それが最大限生かせる方法がこのイオタビを運営することだったんです。

ーーイオタビはどのようにして立ち上げたのでしょうか?

前田さん)
2016年の1月頃にWordPressでイチから2ヶ月ほどかけて立ち上げました。インターネットサイトのメディア運営をした経験なんてもちろんそれまで無かったので、当初はかなり苦労をしました。そっち関係に詳しい友人に手伝ってもらい、何とか形に出来たという感じです。(笑)

イオタビが伝えたい目的は、普通のガイドブックに掲載されているような場所ではなく、実際に現地まで行ってみないとわからない場所を紹介したり、新しい楽しみ方を提案していたりしています。

ターゲットは、歌の無い音楽を聴く趣味がある、30代の女性読者層を想像して執筆しています。

ーー前田さんは、音楽だけでなく表現すること自体が好きなんですか?それとも、文章を書くことが好きなんですか?

前田さん)
あー、表現すること全部ひっくるめて大好きなのかもしれないです。

自分を表現したいという想いが強いので、記事の内容も基本的にすべて自分が体験したこと、考えたことを書いています。ブログを手伝ってもらっている外部のライターさんもいるのですが、同じように彼女たちが体験したことを大切にしてもらいたいと考えているので、レビューはしますがあまり直さないように意識しています。

色々なウェブメディアで「〜5選」のような記事はやり尽くされていると思っていて、自分たちがやるなら自分の足で稼いだものを書きたいです。その中で、日常に転がる不思議を発見出来たら、読者の皆さんと共有出来れば最高だなと。

ーーイオタビを立ち上げてから前田さん自身に何か変化はありましたか?

前田さん)
私自身の変化はあまり無いのですが、周りからの反応は変わった気がします。例えば、旅に行くと言ったらこれまでの「遊びに行くんでしょ」から「仕事に行くんでしょ」と言ってもらえるようになりました(笑)音楽レーベルの売り込みをする時にも自分たちのメディアを紹介することで、私たちがどんなことをやっていて、どんなことを考えているのかを手軽に知ってもらうことが出来るようになりました。

メディアを一つ立ち上げるだけで、こんなにも自分を取り巻く環境に変化があったことに驚いています。

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ーーメディアを通して新しいコミュニケーションが生まれる面白さは私も日々感じています。今後の展開などが決まっていれば教えてください。

前田さん)
イオタビに関しては、今後は動画コンテンツを増やしていきたいですね。より私たちの活動を色々な方法で知ってもらいたいです。

あとは、旅(タビ)がテーマなので、どんどん旅に出て行って現地の写真をたくさん撮りたいです。とは言え、レコーディングや日々の雑務の忙しさでなかなか難しい部分もあるのですが(笑)

更新頻度に関しては、ネット上で情報を集めてまとめ記事を作ることは可能ですが、やはり自分で実際に見て感じたことを記事にしていきたいので、イオタビの趣旨から外れるようなコンテンツを出すくらいなら更新しないほうがいいのではないかと考えています。

ーー最後に何か読者の方に向けてメッセージがあればお願いします。

前田さん)
日々生きていると、欲しかったけど実際に手に入れてみたら何となく違った、という経験をすることがあると思います。

私の周りの友人でも、欲しかった安定や安心を手に入れてみたら、自分が本当にやりたかったことや挑戦してみたいことに気付いたという人も多いです。

ですので、やりたいことに向かって、とことん正直に生きること。そこに向き合うことが必要だと思っています。
本当に惹かれたものに対しては判断の余地が許されなくなってくる。」と、自分は思っています。
諦めないこと、そして挑戦し続けること。表現者にとって、誰のためにやってるか。自分の中に答えはあるはずではないでしょうか。

ーー本日はどうもありがとうございました!

<おまけ>

プロの方のドラムプレイは神ってました…前田さんのプレイを聴きたい方はHPをチェック!

プロの方のドラムプレイは神ってました…前田さんのプレイを聴きたい方はHPをチェック!


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☆今回、撮影協力を頂いたスタジオさんの紹介

世田谷RECスタジオ
世田谷の住宅街にひっそりと佇むリハーサル&レコーディングスタジオです。レコーディングのモットーはアーティストの希望を汲み取ってそれを再現することに力を尽くすこと。グランドピアノを配備したスタジオをはじめ、個性的で独特の鳴りをもつ3つの部屋とミキシングルームを完備しており、アナログ機材を主体とした個性のある音作りを提供してくれます。
【Webサイト】http://studio.recmusician.com/
【住所】東京都世田谷区北烏山6−31−6

☆《studio iota label
「心から出て心に還る音楽を」をモットーに、粋な義理人情を大事にし、旅に似合うような音楽を提供し続ける、音楽レーベルです。コアなファン以外にも触れてほしい”歌のない音楽”を中心とした[レコードの制作・販売]、[レコーディング・ミックス]を行っています。楽曲の作曲・編曲も承っておりますので、まずはお気軽にご連絡ください。
【ウェブサイト】http://studio-iota.com/
【イオタビ】http://www.iotabi.com/


花岡 郁 / SEKAI LAB TIMES編集長
2代目SLT編集長。運営元のモンスター・ラボでは広報も担当。ITエンジニアの採用方法や人材不足に関する記事を執筆しています。好きな食べ物は馬肉。趣味は街を徘徊すること。声優ネタ、サブカルネタも好物です。お問い合わせはお気軽にこちらまで→ monstar-info@monstar-lab.com