スタートアップ

【インタビュー】ワンコインで花のある生活を レガシーな花き業界で新参者が認められた方法とは?

みなさんの生活空間に『生きた花』はあるだろうか?

筆者の部屋にはある。ドライフラワーだが、殺風景な部屋を少しだけ彩ってくれる。ふとした瞬間にそれを眺めることで心が静まる。日常に花があるだけでこうした癒し効果があることを知っている人は多いだろう。

しかし、生きた(新鮮な)花を部屋に活け続けることは簡単なことではない。近所に花屋があるとは限らないし、人束数千円することもあるので毎週毎月となるとかなりの出費だ。

今回紹介するスタートアップサービスは、1回500円(送料別)で、毎週または隔週ポストに新鮮な花を届けてくれる『Bloomee LIFE』というサービス。

株式会社クランチスタイル代表の武井亮太さん(以下、武井)と同社広報の星千佳子さん(以下、星)に何故、花というテーマを選んだのか、また古い商習慣を持っている業界へのコミットの仕方についてお話しを伺った。

IT化されていない「花」の業界

ー本日はよろしくお願いします。

武井:よろしくお願いします。

ーまず、御社のサービスはどのような特徴があるのでしょうか?

武井:Bloomee LIFEは、1回500円(送料別)で毎週もしくは隔週、自宅に花束を届けてくれる定額お花宅配サービスです。

一般的に、花というと、プレゼントのイメージが強いと思うのですが、このBloomee LIFEに関しては、自宅などに飾る花なので、あまり誰かに送るというよりは、自分用や自宅用の花としてのサービスとなります。

500円プランの花束

ー自分以外の誰かにプレゼントをすることも出来るんですか?

武井:はい、可能です。実際にプレゼントでご活用いただくお客様も多いです。例えば、実家の親御さんやおじいちゃんおばあちゃんに定期的にお花を贈って、元気になってもらうという目的や、関西にいる彼女に東京から毎週花を贈っているという方もいらっしゃいますね。

ー毎週お花が届くって素敵ですね!

武井:そうですね。そもそもうちのプランは、毎週か隔週かなのでそうなります(笑)

ーあ、なるほど(笑)やはり、女性としてはお花を送られるというのは嬉しいですか?

星:嬉しいですね。どちらかというと花束というよりは、邪魔しないようなインテリアに溶け込むようなかたちのお花なので、毎週届くと自然になっていくところがいいと思います。

ーとても気軽に利用することが出来ますよね。そもそも、なぜ花に関するサービスを始められたのでしょうか?

武井:いろいろな理由はあるのですが、元からITを絡めたサービスをやりたいと思っていて、IT化されていない業界に挑戦したいなと思ったんです。

そうした視点で考えたときに、花ってなかなかITで買う文化も無ければ、大手のECなどもイケてるものが無かったんですね。そういったものを新しく買いやすくしたりとか、送りやすくしたいなと自分で一番最初に思ったことがきっかけですね。

花って当たり前ですけど、見た目が結構重要なんですよね。ある意味、見た目を楽しまなかったら、何を楽しむんだぐらいなものだと思うんです。匂いももちろん重要なんですけど、一番のメインはこの花の画(え)が大切です。その画がITを通すとあまりリアリティがないんですよね。生きている生モノなので、画面越しで見る花と実際に届く花ではかなり乖離があります。

ギャップ(課題)をワンコインで解消すると語る武井さん

ー実際に家に届いたらイメージの花と色が全然違った!ということも起こりそうですね。

武井:まさにそのような問題が起こるんです。見た目が重要なのに、イメージが違うってかなり問題ですよね(笑)そこをもっとどうにか出来るのではないかと思い、花というテーマに着目しました。

ー例えば、それ以外にもレガシーな業界であったり、オールドスタイルなものって他にもあると思うんですけど、なぜ花に一番魅力を感じたんですか?

武井:実は、花市場自体は割と大きくて、1兆円くらいの規模なんです。というのもあって、ニッチな分野というよりはある程度大きな市場規模がそもそもある分野がいいなと思ったのが一つですね。

あとは、やはり消費者に届くようなC向けのサービスがいいなと思っていて、古い業界にはビジネス構造が変わりにくいB向けのものが多かったので、それよりは消費者に直接届くモデルがいいと思いました。

花は欲しいけど継続購入は難しい!を解決

ー先ほどのお話にも戻るんですが、実際のイメージとの乖離についてはどのような対策を取られているんですか?

武井:その点については、サービスをやる前に感じていた課題で、特別にそれを解消したいからこのサービスをやっているというわけではないんです。それも一つの要素ですが、というよりは、そもそも単純に花を買う仕組みがないという点や生モノがゆえにお店が開いている時間に買えなかったり、すぐに枯れてしまうので定期的に買いに行かなければならず面倒、という課題に応えるためのサービスなんです。

ー実際にサービスをリリースしてみて、ユーザーからの反応はいかがでしたか?

武井:おかげさまでかなり良い反響をいただいておりまして、やはり忙しくて花を買いに行けない人からは、暇がなくてちょうど良かったなどといただくことは多いですね。弊社のサービスは、ポスト投函をするので、忙しい人でもポストを開ければ入っているという手間の少なさとワンコイン500円(送料別)で始められるという手軽さに良さを感じていただいてるお客様が多いようです。

ご存知かもしれませんが、花ってワンコインで気軽にはなかなか買えるものではないんですよね。特に駅前のお花屋さんとかのお花は高いものが多いです。すぐに枯れてしまうものだけど、継続的に買うには高すぎるというギャップ(課題)をワンコインで解消出来るということで、好評をいただいております。

ー新鮮な花をユーザーに届けるために、どのような工夫をされていますか?

武井:まさに良い見た目を保つためには鮮度が重要なのですが、弊社サービスのお花の鮮度はかなり良い状態でお届け出来ます。その理由としては、毎週届けるサービスなので、例えばA宅さんに届ける場合、もう次週届ける場所も決まっているわけです。なので、いつ届けるのかという点でも、週末の金土日で固定しているので、今週金曜日に届けるご家庭は週初めの段階であらかじめわかっているわけです。

そうすると、花屋さんはロットがわかっているので、無駄な仕入れをせずに在庫リスクを減らせることが可能になります。花屋さんからしてみれば、在庫を抱えなくてもいいし、売れる見込みが立っているので、前日とかにお花を仕入れてその発注分をお届けすればよいです。

基本的に花屋さんは、ユーザーの立場からすると、例えば今日は彼女の誕生日だからいい花を選んで欲しいなど、その場で選べる環境を用意しないといけないので、必然的に在庫を多く抱えておく必要があるんです。そして、花屋さんで買っているものって新鮮そうに見えてストックしているものなので実は鮮度が十分に保てていない状態のお花の可能性もあります。

ーそれでは、このサービスのほうが鮮度の高い花を手に入れられると。

武井:そうですね。前日に仕入れたものをお送りしているので、そういう意味では新鮮さを保ったものをお届け出来ますね。

組み合わせがランダムに届く楽しみ

ー現在、ユーザーさんはどれくらいいらっしゃるんですか?

武井:日本全国に約2500ユーザーほどで、そのほとんどが500円プランのユーザーさんですね。

ー500円プランと1000円プランはどのように違うのでしょうか?

武井:高級なお花が入っていることのほか、入っている花の本数が違いますね。

ーターゲットはどのような人に利用してもらいたいと思っているのでしょう?

武井:やはり普段、お花を買いにいく時間がなかったり、近くにお花屋さんがないという女性の方がメインターゲットです。今まで花を身近に置く習慣がなかった人が、日常に花を添えてくれるようになったら嬉しいですね。

なので、意外と花の種類にこだわるというよりは、ランダムに届く花を楽しみにしているという方も多いようです。その点は実際にサービスをやってみて出てきた発見ですね。

ー花の解説カードのようなものは入れているんですか?

武井:その辺りは、それぞれの花屋さんに自由に任せていて、解説カードを入れるお店もあればそうでないお店もありますね。弊社ではInstagramで今週届くお花の情報をお知らせしているので、そこで確認出来るようになっています。

ー御社サービスの開発はどのような体制でやられているんですか?

武井:現在、サポーターも含めて4名で開発しています。基本的にそのメンバーでフロントも裏もやっています。

ー今後、アプリを出される予定などもありますか?

武井:そうですね。それも考えていますし、その他にプラス機能も考えています。現状は、10店舗から花をランダムに届けているのですが、かなり花屋さんによって好みやテイストがバラバラなんですね。なので、そこを選びたい人は選べるようにしてそうでない人はランダムに届けるといった選択肢を増やせていけたらなと思っています。

ー現在、10店舗と契約をされているとのことですが、契約店舗を拡大する計画などはありますか?

武井:そうですね。反響として多くのお問い合わせをいただくのですが、店舗ごとの違いが出た方がお客様にとっても面白いと思うので、そこはある程度のラインナップのバランスをみてチョイスしていくというかたちですね。

win-winな関係を提示する

ーサービス開始当初は、店舗への営業などでご苦労された点などはありますか?

武井:私を含めて弊社のメンバーは、もともとこの分野の専門家ではないので、はじめの頃は業界を知らない新参者が入っていたと煙たがれることもありました。やはり昔から変わらない業界というのは、寄り添う性質があるからこそ新規参入がしにくいのでその点は苦労したところですね。

ー業界に受け入れられるために、どのような工夫をされたのでしょうか?

武井:現在もそうなのですが、もちろんお客様のメリットも考えるのですが、花屋さん側のメリットもかなり考えるようにしている点が大きいのかもしれません。

やはり私たちは花屋さんと良好な関係を築けていないと成り立たないビジネスなので、ステークホルダー全員がwinwinになるように調整するのが自分たちの仕事だと思っています。

毎週200件以上のお客様に定期的にリーチが出来るというのは、店舗の花屋さんでは出来ないことなので、私たちは商品にどんなチラシを入れてもいいですと言っているんです。そこはもうマーケティングのツールとしてどんどん活用してくださいと言っているんです。お花が売れることももちろんメリットですが、そうしたマーケティグの部分でもメリットを感じていただけるようにしています。

提供側にもメリットを提示することが大切

ーなるほど。最近、日本でもサブスクリプションのサービスが流行っていますが、なぜ定額制ビジネスを選ばれたのでしょうか?

武井:お花は生モノなので、お客様にお花のある生活を送らせたいと思うと、定期的に入れてもらう必要性があるんですね。

アメリカやヨーロッパなどの海外だと、花を誰かに送るということが日常茶飯事です。なぜそうなのかと言うと、文化的な側面もありますが花を見る機会が日常にあるとか、家に花があることが当たり前だから送る文化があるんですよね。

一方日本だと、花は特別な時にしか送らなかったり、そもそも送るという行為のハードルが高いのでそこのハードルを下げるためには、まず自然と花がある環境を作ってあげないと業界が盛り上がらないと思いました。そう考えるとやはり定期購入型のサブスクリプションサービスに行きついたというわけです。

ー最後に、このBloomee LIFEの長期的なビジョンをお聞かせいただければ。

武井:やはり、より多くの場所や人々にお花のある生活・価値観を提供していくということが私たちのミッションですね。今後は、カフェや病院などのB向けへのサービスも展開していきたいと考えています。

ーユーザーの生活空間づくりからサービスを設計されているということですね。本日はどうもありがとうございました!

取材後記

これまで店舗で買うことが当たり前だった「花」。提供側も長らく顧客の要望に応えるために在庫を多く抱えるしかなかった。そのどちらの古い当たり前もこの『Bloomee LIFE』は新しい当たり前にした。そして、この取り組みがより多くの人に拡がり、暮らしの日常に花のある生活が当たり前になればいいなと思う。

 


花岡 郁 / SEKAI LAB TIMES編集長
2代目SLT編集長。運営元のモンスター・ラボでは広報も担当。ITエンジニアの採用方法や人材不足に関する記事を執筆しています。好きな食べ物は馬肉。趣味は街を徘徊すること。声優ネタ、サブカルネタも好物です。お問い合わせはお気軽にこちらまで→ monstar-info@monstar-lab.com