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「外国人だからプロジェクトがうまくいかない」は正しいの?オフショア開発のよくある誤解

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オフショア開発でよく聞くのが、開発するのが外国人だからなかなか“感覚”が同じじゃないから失敗してしまうのでは?という心配です。こういう話しを聞く時にいつも思うのが、ならば日本人同士のプロジェクトであれば必ず成功しているのか?ということです。日経コンピュータが「動かないコンピューター」という連載をしていますが、これを読めば日本人同士でもプロジェクトはが往々にして失敗するという現実が良く分かります。

日本人は本当に均質な民族なのか?

日本人の持つ幻想の一つが、「日本人は均質な民族である」というものです。そこに日本人以外がプロジェクトに入ると、異分子が入ったがための混乱が生じ失敗のリスクが高まるというものです。しかし、日本人が均質であるというのは事実ではないと思います。ある調査によるデータでは日本人の価値観のバラツキとアメリカ人のそれには大きな違いはないということです。

日本人が単一の国民意識を持ったのはそれほど古いものではありません。明治維新までは日本は300以上の諸藩に分かれており、互いに別の国として存在したのです。幕末に萩藩が諸外国に戦艦から砲撃を加えられたとき、対岸の小倉藩の住人は見物をしていたのだそうです。その戦争が自分たちの利害に関係あるという実感はなかったのです。文化的にも地方ごとに風俗も違っていて、通じ合うところはなかった訳です。

価値観の異なる他人と理解し合うことの難しさ(≠外国人だから)

今でも会社ごとに価値観はバラバラで、社内で使っている言葉も違っています。あるシステム開発プロジェクトなどではプロジェクトで使用する用語集を作らなければいけないほどです。この用語集は何も社外のシステム開発会社のために作ったのではなく、社内の他の部門の為に作成したというのです。つまり、同国人だろうが、外国人だろうが、違う人間同士はお互いに理解し合うのは難しいということなのです。

なので、「外国人だから・・・」という予断を持つ事が逆に危ないのです。社外の人に何か仕事を委託する場合、その相手が日本企業であろうが、オフショアであろうが相互理解をするのは大変で、常に失敗のリスクはあるということです。

相互理解の難しい他人と、プロジェクトを円滑に進める方法

では、その課題を解決するためにはどのようにプロジェクト管理すれば良いでしょうか?その方法は大きく二つあります。一つは何度も打合せし、文書を取り交わして相互理解を深めていくということです。もう一つは発注者から誤解のない仕様書を提示するということです。これで失敗のリスクを減らすことができます。

前者は日本企業では喜ばれる方法です。「同じ釜のメシを食う」と言いますが、そのプロジェクトだけではなく、その背景、所謂“文脈”を共有することが日本の文化では喜ばれます。高コンテクスト社会と言われるそうです。300年以上も社会が固定化され、大した戦争もなく平和に過ごしてきたために出来たのでしょう。

逆に発注者から詳細な仕様書を提示する、あるいは条件を提示するというのは欧米等では普通のことです。これは相互理解の限界をよく知る社会だからでしょう。繰り返される「動かないコンピュータ」の話を知ると、実は日本人の好みとしては高コンテクストではあっても、現実的には詳細な仕様書を取り交わす低コンテクストの方法をとるほうがリスクを抑え開発をスムーズに進めることができると思います。

とは言え、そんなコストのかかることばかりは出来ないので、オフショアでも手間をかけずに、プロジェクトを円滑に進める管理の方法について・・・はまたの機会に。

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KENTARO FURUKAWA / Project Manager
業務システムからスマホアプリ開発まで多様なシステム開発現場でプロジェクトマネージャをつとめる。ICタグシステム開発のベンチャーや物流会社の経営企画などで、事業開発や事業改善を主導。現在はフリーのプロ・プロジェクトマネージャとして活躍。